Producer Kobayashi Mitsugu talks to My Car Life about the upcoming release of his latest CD SMILE featuring the vocal of William Silk
9月21、22日でレコーディングを行った「Smile/William Silk」(ウッディクリークCD-1009)の発売が近づいてきた。例年のことながら10月には都内で二つのオーディオ・ショウが開催され、それに合わせて各社から新製品が数多く登場し、その取材に追われる日々が続く。さらに各オーディオ誌が主催する様々なアワードの選考会や審査会、そして受賞モデルの原稿などで年末まで多忙を極めるというのが、この数年の慣例になっている。その忙しさが来る直前にレコーディングを行ったのは良かったのだがマスタリング作業、ジャケット・デザインやその原稿書きなど越さなくてはならない幾つものハードルがあるにもかかわらず一部に1月末の発売と公言してしまった。
アーティストと僕の間でOKテイクの行き違いなどがあり秋口に完了していたはずのマスタリング作業が先日やっと終了し音源をプレス過程に廻すことができた。デザイン事務所に大至急で仕上げてもらったジャケット案も僕とWilliamとの意見が一致して版下を印刷工程に送り、やっと一段落といった感じになった。このままトラブルがなければ2月20日ころには初回プレスが僕の手許に届くことになる。ということで発売日を2月25日と決定し懇意のオーディオ誌などにプロモーション用サンプルCD-Rと簡単な資料を、と思っていたら各誌の取材が立て込んで、その暇がなくなってしまった。なんとか発売日の10日位前には作成しなくてはと思っているのだが、その直前には大阪のAuto Messe2009の2泊3日の取材予定が入っている。
来週中に幾つかの原稿を片付けてやり遂げなくてはならない事になってきた。
話は変わるが今回の作品は僕のウッディクリークとして初めてのヴォーカル作品ということになる。今までにも何人かの候補がいたのだがレコーディングの声をかけようと思っていたら他のレーベルからリリースされ、また旧知の女性ヴォーカリストに電話を掛けたのが地方公演や海外へいっていたのか連絡がとれずに、そのままになっていた。
僕の録音手法はリミッターやコンプレッサーどころかイコライザーもフィルターも使わない一発録音のため本当に実力のある人でなくてはならないのだ。多くのヴォーカル作品ではマルチ・トラック録音手法を採りヴォーカリストが歌詞を間違ったり音程を外したりした場合は空きトラックにヴォーカルだけ別テイクを採って、その部分を差し替えるというのが一般的だ。特にポップス系などでは1小節刻みでトラックを入れ替えるなんていうのは日常茶飯事だと聞く。
そんな訳で歌が巧いだけでなく何回テイクを重ねても声量が落ちることなく歌い続けられるスタミナも必要になってくる。しかもミキシング・コンソールの操作はバックのピアノとウッドベースとの音量バランスを取るだけのシンプルなものだ。それは女性が何のお化粧もしないで人前にでるようなもので、それに耐えられるヴォーカリストはなかなかのいないのが現実なのだ。今回はバックの楽器の残響感と合わせるためにヴォーカルに僅かにリヴァーブを使った以外は何も加工をしていない。ウィリアム・シルクは僕の厳しい要求に応えてくれる実力の持ち主だったのだ。
今回の「Smile/William Silk」は透明度の高い音場空間にウィリアムの美声が鮮明に浮かび上がり、バックのピアノとウッドベースとも自然なブレンド感が得られている。3者の音像もクリアーで鮮度の高い瑞々しい響きが聴ける。
また、ボーナス・トラックとしてフランク・シナトラの愛唱歌でもあった「Witchcraft」のアナログ・テープ音源とウィリアムがオリジナルの英語の歌詞をつけた井上陽水の「少年時代」の2曲を収めているのでオーディオ的にも音楽的にも色々な楽しみがある作品に仕上がったと思っている。
●CDの問い合わせ
ウッディクリーク・ホームページ
http://www.pod-net.com/woodycreek/
ユキム
http://www.yukimu.com/
03−5743−6202
●William Silkホームページ
http://www.williamsilk.com
2009/2/2(小林 貢)
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